2025年の離職率は13.7%で、2016年から数えた10年のなかでいちばん低い。いちばん高かったのは2019年の15.6%。幅は1.9ポイントしかない。厚生労働省の雇用動向調査が毎年公表している年計の値で、この10年、離職率は14%前後のせまい帯のなかを行ったり来たりしている。
離職率の推移、10年の幅は1.9ポイント
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直近10年の入職率と離職率
| 年 | 入職率 | 離職率 | 入職超過率 |
|---|---|---|---|
| 2016年 | 15.9% | 15.0% | +0.9 |
| 2017年 | 16.0% | 14.9% | +1.1 |
| 2018年 | 15.4% | 14.6% | +0.8 |
| 2019年 | 16.7% | 15.6% | +1.1 |
| 2020年 | 13.9% | 14.2% | −0.3 |
| 2021年 | 14.0% | 13.9% | +0.1 |
| 2022年 | 15.2% | 15.0% | +0.2 |
| 2023年 | 16.4% | 15.4% | +1.0 |
| 2024年 | 14.8% | 14.2% | +0.6 |
| 2025年 | 14.7% | 13.7% | +1.0 |
離職率は、1年間の離職者数を1月1日現在の常用労働者数で割った値である。年初に100人いた職場から14人が出ていけば14%。入職率のほうは同じ分母に対してその年に入ってきた人の数を置くので、2つを並べると、抜けた量と入った量を同じものさしの上で見られる形になっている。
2019年に15.6%まで上がったあと、2020年と2021年で1.7ポイント下がり、2022年から2年かけて15.4%まで戻り、そこからまた2年下がって13.7%。上下はしているものの、10年の系列を通して1.9ポイントの帯を出ていない。
2020年だけ、出ていった人のほうが多い
入職率から離職率を引いた値を入職超過率という。この10年でマイナスになったのは2020年の−0.3ポイントだけ。入ってきた人より出ていった人が多かった年がこの10年でただ一度あった計算になり、それは入職率が13.9%まで落ちて、10年の系列でいちばん低くなった年と同じ年である。
2020年と2021年は、離職率が下がった年でもある。ただし入職率のほうが16.7%から13.9%へ2.8ポイントも落ちていて、下がり方は離職率の1.4ポイントより大きい。辞める人が減ったというより、人の出入りそのものが細くなった2年として読むほうが、2つの率の形には合う。
同じことが2025年にも言える。離職率は0.5ポイント下がったが、入職率は0.1ポイントしか下がらなかった。結果として入職超過率は1.0ポイントまで広がり、この10年では2017年・2019年に並ぶ高さになっている。2025年の内訳は離職率の平均13.7%、男女で2.6ポイント差に書いた。
60年の系列で見ると、いまの水準は下のほう
| 年 | 入職率 | 離職率 |
|---|---|---|
| 1964年 | 24.2% | 21.1% |
| 1970年 | 22.9% | 21.5% |
| 1980年 | 15.3% | 14.4% |
| 1990年 | 16.8% | 15.3% |
| 2000年 | 14.7% | 16.0% |
| 2010年 | 14.3% | 14.5% |
| 2020年 | 13.9% | 14.2% |
| 2025年 | 14.7% | 13.7% |
この調査は1964年から続いている。最初の10年は離職率が20%を超えていて、1970年の21.5%が、この系列でいちばん高い。1970年代の後半に15%台まで落ちてからは、50年にわたって13〜17%台のなかに収まっている。
いちばん低かったのは1983年の13.2%。2025年の13.7%は、それに次ぐ低さになる。人の動きが増えたという実感と、この系列の形は、そのままには重ならない。
1994年から2006年にかけては、両者が並んだ1996年をはさんで、離職率が入職率を上回る年が13年のうち12年を占めた。そのなかでも2005年の17.5%は、1970年代以降で最も高い離職率にあたる。
1991年と2004年で、数えている範囲が変わった
長い系列を1本の線として読む前に、断層がふたつある。1991年からは調査産業計に建設業が含まれるようになり、2004年からは学校教育や社会教育などが調査の範囲に加わった。
どちらの年にも、前後をつなぐための数値が併記されている。1991年は建設業を除いた計で入職率16.5%・離職率15.2%、2004年は教育,学習支援業を除いた計で入職率15.9%・離職率16.1%。公表値とほぼ同じ水準ではあるものの、1980年代の値と2020年代の値を引き算するときには、数えている産業がそろっていない。
理由別に分けると、動いているのは個人的理由のほう
| 年 | 個人的理由 | 事業所側の理由 |
|---|---|---|
| 2019年 | 11.5% | 1.1% |
| 2020年 | 10.1% | 1.1% |
| 2021年 | 10.1% | 0.9% |
| 2022年 | 11.0% | 1.1% |
| 2023年 | 11.4% | 0.9% |
| 2024年 | 10.7% | 0.8% |
| 2025年 | 10.2% | 0.9% |
個人的理由は、結婚・出産育児・介護看護・その他の個人的理由の合計。事業所側の理由は、経営上の都合・出向・出向元への復帰の合計。前者は7年で1.4ポイント動いたのに対し、後者は0.8%から1.1%までの0.3ポイントの幅しか動いていない。
2020年に個人的理由が1.4ポイント落ちたときも、事業所側の理由は1.1%のまま前年と同じだった。景気の局面が変わっても、経営上の都合で職場を離れる人の割合は1%前後から動かない。離職率の年ごとの上下は、ほとんどが個人的理由の側の動きということになる。
この理由は、辞めた本人ではなく離職者がいた事業所が答えたものなので、本人が何をきっかけに職場を離れたのかは、ここに並べた数値の外にある。
この推移で言えないこと
標本調査である。毎年およそ1万5,000事業所を抽出して全国を推計しているので、1年で0.3ポイントといった動きを、そのまま変化として読むことはできない。常用労働者5人未満の事業所は枠の外にいる。
産業ごとの推移は、この表に出していない。宿泊業,飲食サービス業のように20%台で動く産業と、10%前後で動く産業とでは、年ごとの上下の形も違う。同じ調査の産業別集計にあるので、そちらは別の記事の種として残してある。
学校を出たばかりの人を追った集計とも、単位が違う。3年以内離職率が大卒で33.8%というのは3年ぶんの累積で、ここに並べた値は1年ぶん。数え方の違いは3年以内離職率は大卒33.8%に書いた。
年をまたいだ引き算にも限りがある。抽出される事業所は毎回同じではないので、2024年の14.2%と2025年の13.7%の差は、どこかの職場で離職が0.5ポイントぶん減ったことを意味しない。
年の並びと、自分の職場
過去3年について、年初の在籍者数と、その年に抜けた人数を書き出す。20人の部署で3人なら15%。分母を年初の在籍者数にそろえて3年ぶん並べれば、全国の年の系列とまったく同じ作りの線が手元にできて、上がっているのか下がっているのかを、全国平均との距離からいったん離れて、自分の職場の動きとして読める。
そのうえで、率には出てこないものが3つある。抜けた人の勤続年数の分布。後任が来るまでの週数。抜けたあとに仕事の割り振りが変わったかどうか。
全国の離職率は10年で1.9ポイントしか動いていない。自分の職場の線がそれより急なのか、ゆるやかなのか。記録が4週ぶん貯まると、比べる材料がそろってくる。





