賞与はいつ出るか、法定の日は無い

民間企業の賞与に、法律で決まった支給日は無い。いつ振り込まれるかの答えは、自分の職場の就業規則か労働協約の賞与の条項にしか書かれていない。国の統計は夏季賞与を6月から8月、年末賞与を11月から翌年1月の支給として集めており、この3か月幅が実務の散らばりをそのまま映している。日付が法律で定まっているのは国家公務員のほうで、夏が6月30日、冬が12月10日。

支給日を決めているのは、法律ではなく就業規則

賞与は、労働基準法が義務づけた制度ではない。厚生労働省のモデル就業規則の解説にも、賞与は労基法その他の法律によって設けることが義務付けられているものではない、と書かれている。だから支給日も、国が一律に決める対象になっていない。

そのかわり、支給するなら書いておくべきものが決まっている。モデル就業規則が挙げるのは、支給対象時期・算定基準・査定期間・支払方法の4つ。第50条の条文は、算定対象期間に在籍した労働者に対し、会社の業績等を勘案して支給日に支給する、という形をとっていて、算定対象期間と支給日を空欄にした表が付いている。職場ごとにこの空欄が埋まる。

常時10人以上を使用する職場なら、就業規則の作成と所轄の労働基準監督署長への届出が労働基準法第89条で義務づけられている。賞与は同条第4号の「臨時の賃金等」にあたるので、制度があれば就業規則のどこかに条項がある。見つからないときは、労働協約や個別の労働契約書のほうを見る。

統計が置いている窓は、夏が3か月、冬が3か月

厚生労働省の毎月勤労統計調査は、賞与を特別集計として年2回公表している。集計の対象になる期間が、支給時期の実態をいちばん素直に示す。

  • 夏季賞与: その年の6月から8月までに「特別に支払われた給与」のうち賞与として支給された分
  • 年末賞与: その年の11月から翌年1月までに同じく賞与として支給された分

6月に出る職場もあれば8月の職場もあり、年末は11月から1月に散る。統計がこの幅を取っているのは、支給日が1日に集まっていないため。

支給の規模感も同じ集計から読める。2025年の年末賞与では、事業所規模5人以上の調査産業計で、支給事業所における労働者一人平均が424,889円、きまって支給する給与に対する支給割合は1.08か月分だった。2025年の夏季賞与は426,337円で、夏と冬でほぼ同じ水準。

年に何回まで賞与と呼べるか

回数には境界がある。社会保険の扱いでは、賞与として標準賞与額の対象になるのは年3回以下の支給で、年4回以上支給されるものは標準報酬月額の対象、つまり毎月の報酬に組み入れられる。

この境界は、年俸制で働く人に効く。年俸を16分割して4回分を「賞与」として払う形にすると、年4回の支給になるため社会保険では通常の報酬として扱われる。名目が賞与でも、回数が4回以上なら月々の報酬。どちらの扱いになっているかは、賞与明細に標準賞与額の記載があるかどうかで見当が付く。

決算賞与を置いている職場では、支給時期が決算期のあとに寄る。決算の結果が確定してから支給額を決める性質上、夏・冬の定例とは別の月に出ることがある。

国家公務員の支給日は法律で決まっている

民間との対照として置いておくと、線引きが分かりやすい。国家公務員の賞与は期末手当と勤勉手当の2つで構成され、支給日は夏が6月30日、冬が12月10日。

2026年6月30日に支給された6月期の期末・勤勉手当では、管理職を除く一般職の行政職職員の平均支給額(成績標準者)が約738,500円、支給月数は2.285月、平均給与額が約323,200円、平均年齢は32.9歳と内閣官房内閣人事局が公表している。

民間にこれに相当する法定の日付は存在しない。公務員の支給日が6月末と12月初旬に固定されているため、民間の支給もその前後に寄る傾向が語られるが、職場ごとの条項が優先する。

算定対象期間は、支給日より前に終わっている

支給日だけ分かっても、自分の額の根拠は追えない。賞与の額は算定対象期間(査定期間)の勤務と業績をもとに決まるので、見るべき期間は支給日より前。夏の賞与なら前年の10月から3月まで、冬なら4月から9月まで、という組み方がよく使われる。

この期間の扱いには制約がある。年次有給休暇を取得した日を欠勤として扱い、賞与の額の算定で不利益にすることは労働基準法附則第136条で禁じられている。有給を使った期間の賞与が下がっていたら、就業規則の算定式を確かめる根拠になる。

もうひとつ、支給の確実さに関わる条項がある。モデル就業規則の第50条には、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により支給時期を延期し、又は支給しないことがある、というただし書きが置かれている。同じ文言を採っている職場なら、支給日が動く余地が規定の中にある。

そして支給の有無自体、職場によって分かれる。2025年の年末賞与で賞与を支給した事業所は、事業所総数の76.5%(前年は77.8%)。規模30人以上では92.8%まで上がるので、規模の小さい職場ほど「いつ」の前に「出るかどうか」が先に来る。

支給日在籍要件があると、退職日の置き方が関わる

就業規則に、賞与の支給対象者を一定の日に在籍した者とする規定を置くことは可能で、モデル就業規則の解説もその例として6月1日や12月1日、または賞与支給日を挙げている。この規定があると、期間の途中で退職してその日に在職しない人には支給しない扱いになる。

つまり確かめる順序は3つ。算定対象期間、支給日、そして在籍を問う基準日。基準日が支給日そのものなのか、その前の月初なのかで、退職日の置き方の意味が変わる。転職先の入社日を調整している段階なら、先に自分の職場の基準日を読んでおくほうが早い。

賞与が前回より減っていた場合に、原資・配分の基準・自分の査定のどこで差がついたのかを切り分ける手順は、賞与が減った基準はどこにあるかにまとめてある。

支給日を自分で確かめる手順

就業規則を見られる状態にあるなら、順に3か所を読む。

  1. 賞与の条項。算定対象期間と支給日、支給対象者の要件、延期・不支給の定め
  2. 労働契約書または労働条件通知書の賞与の欄。パートタイムや有期雇用なら、雇入れに際して賞与の有無を文書の交付等で明示する義務がある(パートタイム・有期雇用労働法第6条第1項)
  3. 直近の賞与明細。額面と、きまって支給する給与の額。割ると自分の支給月数が出る

就業規則が見つからないときの聞き先は、人事労務の担当か直属の上司。労働基準法第106条は、就業規則を労働者に周知することを使用者の義務にしているので、所在を尋ねることそのものは制度に沿った行動になる。

支給日と算定対象期間を一度書き出しておくと、次の賞与までに何を記録すればいいかが決まる。欠勤と有給の日数、算定対象期間中に担当した仕事、面談で伝えた内容。処遇の根拠を上司に聞く段取りは給与の決まり方の聞き方に書いた。月例給の引き上げとの違いはベースアップとは、賃金表の書き換えのほうで扱っている。

出典

  1. 毎月勤労統計調査 2026年2月分結果速報等(厚生労働省、特別集計 2025年年末賞与、事業所規模5人以上)
  2. 毎月勤労統計調査 2025年9月分結果速報等(厚生労働省、特別集計 2025年夏季賞与、事業所規模5人以上)
  3. モデル就業規則(厚生労働省、令和7年12月版、第50条 賞与とその解説)
  4. 令和8年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給(内閣官房内閣人事局、2026年6月30日)
  5. 労働基準法(第89条 就業規則の作成及び届出、第106条 周知義務、附則第136条)/e-Gov法令検索
  6. 標準報酬月額・標準賞与額の決め方(日本年金機構、年3回以下の支給が賞与)