コンサルの残業時間、近い業種で14.2時間

コンサルタントの残業時間に近い公的統計の数値は、月14.2時間。厚生労働省の毎月勤労統計調査2025年分結果確報で、学術研究,専門・技術サービス業に勤める一般労働者1人あたりの所定外労働時間が、月平均でこの値だった。就業形態計(パートタイムを含む)では12.8時間になる。

ただし、この調査に「コンサルティング」という区分は無い。数字を読む前に、何を見ているのかを先に置く。

コンサルは、産業の区分でいうと学術研究,専門・技術サービス業

毎月勤労統計調査は、日本標準産業分類の16大産業で集計する。経営コンサルタント業が入るのは「学術研究,専門・技術サービス業」。同じ枠には、法律事務所も、公認会計士事務所も、広告代理業も、デザイン業も、自然科学の研究機関も同居していて、この1区分の平均は、それらを全部ならした値として出てくる。枠は広い。

区分は、働く人の職種ではなく、勤め先の事業所が主としている事業で決まる。だからコンサルティング会社で人事や経理を担当していてもこの枠に数えられ、事業会社の中で社内コンサルティングをしている人は、勤め先の産業のほうに入る。職種としての「コンサルタント」を探している場合、この表は1つずれた場所を映している。

職種で見た数値は、別の調査(賃金構造基本統計調査)の職種別集計にある。SEの残業時間、平均は月11時間に、システムコンサルタント・設計者を含む区分の数値をまとめてある。

就業形態で、同じ産業の数字が1.4時間ずれる

学術研究,専門・技術サービス業の2025年の月平均は次のとおり。

就業形態 総実労働時間 所定内労働時間 所定外労働時間 出勤日数
就業形態計 150.6時間 137.8時間 12.8時間 18.2日
一般労働者 158.5時間 144.3時間 14.2時間 18.8日
パートタイム労働者 89.2時間 87.5時間 1.7時間 14.1日

就業形態計は、一般労働者とパートタイム労働者を混ぜた平均。パートタイムの所定外は1.7時間しかないので、混ぜた瞬間に平均が短いほうへ引かれる。引かれ幅は1.4時間。フルタイムで働く人が自分の月と比べるなら、一般労働者の14.2時間のほうが近い。

「コンサルは月80時間」といった数字を見たことがあるなら、それは特定の会社や職位の話であって、産業全体をならした平均とは別の単位。ここで並べているのは、事業所が記録して報告した時間を全国で集計した値になる。

調査産業計との差は1.0時間

一般労働者の所定外労働時間を、主な産業で並べる。

産業 所定外労働時間
運輸業,郵便業 24.1時間
電気・ガス業 16.9時間
情報通信業 16.5時間
製造業 14.7時間
学術研究,専門・技術サービス業 14.2時間
金融業,保険業 13.6時間
調査産業計 13.2時間
医療,福祉 6.7時間

調査産業計の13.2時間に対して、1.0時間ぶん長い。ただし、いちばん長い運輸業,郵便業の24.1時間とのあいだには9.9時間の開きがあり、全16区分のなかで学術研究,専門・技術サービス業が座っているのは、平均よりわずかに上、上位からは離れた位置になる。産業別の全16区分は業種別の残業時間、最長20.6時間に一覧がある。

前年からは3.6%減。所定内労働時間も1.4%減っていて、総実労働時間では1.7%の減少だった。増えていない、というのがこの1年の動き。

1日あたりに割ると46分

一般労働者の出勤日数は月18.8日。所定外14.2時間をこれで割ると、1日あたり0.76時間、46分ほどになる。所定内は144.3時間を18.8日で割って7.7時間。合わせて1日8.4時間の拘束が、平均としての姿になる。

日ごとにならした数字。定時で上がる日と日付が変わるまで残る日が同じ月のなかに並んでいても、出勤日数で割ってしまえば同じ0.76時間に落ちるので、この値から1日の実際の姿を読むことはできない。月の振れ幅は出てこない。自分の月と比べるなら、合計時間のほうで並べる。

この数字で言えないこと

産業内のばらつきは消えている。14.2時間は学術研究,専門・技術サービス業の平均であって、そこに属する事業所の半分がこの値の近くにいるという意味ではない。同じ枠に研究機関と広告代理業と法律事務所が入っていることを思い出すと、平均の周りがどれだけ散らばっているかは、この表からは読み取れない。

所定外労働時間は、事業所が記録して報告した時間。記録に乗らなかった時間は、どの産業の平均にも入っていない。

常用労働者5人未満の事業所は調査の対象外。少人数のコンサルティング会社に勤めている場合、自分の勤め先は集計そのものに入っていない可能性がある。

同じ産業区分の休みの取り方は、コンサルの有給取得率、近い業種で66.8%に別の調査からまとめた。勤め先の残業がどう決まっているかを面談で確かめたいなら、面接の逆質問に聞き方の例がある。

出典

  1. 毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報/厚生労働省/事業所規模5人以上・日本標準産業分類の16大産業
  2. 同 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(産業別・就業形態別。学術研究,専門・技術サービス業の所定外労働時間 一般労働者14.2時間)/厚生労働省
  3. 毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報 概況(厚生労働省、事業所規模5人以上)