コンサルの有給取得率、近い業種で66.8%

就労条件総合調査に「コンサルティング業」という産業区分は無い。経営コンサルタント業が入るのは「学術研究,専門・技術サービス業」で、令和7年調査(実績は令和6年の1年間)の有給取得率は66.8%。付与18.4日のうち12.3日を取っている。調査計は66.9%なので、差は0.1ポイント下。

5年前は違った。令和3年調査でこの業種は58.3%、調査計は56.6%で、1.7ポイント上にいた。上がり方が全体に追い抜かれた5年、という形になっている。

経営コンサルタント業はどの区分に入るか

日本標準産業分類の大分類「学術研究,専門・技術サービス業」には、経営コンサルタント業のほか、法律事務所、公認会計士事務所、広告業、土木建築サービス業、獣医業、学術・開発研究機関が入る。戦略も会計も設計も同じ箱。

したがって66.8%は、コンサルティングの事務所だけを取り出した値ではない。プロジェクトの区切りに合わせて休みをまとめて取る職場と、年間の予定が先に組まれている研究機関のような職場が、同じ分母のなかで平均されているので、働き方の違いは数字の側に残らない。分けた集計は公表されていない。

年収のほうも同じ事情で、職種区分に「コンサルタント」が無い。名前が近い区分から計算した値はコンサルの平均年収、近い職種で752万円にまとめた。

66.8%はどう計算した値か

取得日数の計を付与日数の計で割って100をかけた値。付与日数には前年からの繰越日数を含めない。だから取得率が100を上回ることはなく、繰越分まで使い切った人が職場にいても、この数字のほうには出てこない。

対象は常用労働者を30人以上雇用している民営企業で、令和7年調査の客体は6,448社、有効回答は3,820社、回答率59.2%。産業ごとの内訳の社数は公表されていないので、この業種の66.8%が何社から出た値かは分からない。実績の期間は令和6年(2024年)1年間、または令和5会計年度。

16業種の中では8番目

令和7年調査の産業別は16区分。この業種より取得率が高いのは7業種で、上から8番目にいる。位置が分かるように抜き出した。

産業 付与日数 取得日数 取得率
電気・ガス・熱供給・水道業 19.5日 14.7日 75.2%
製造業 18.8日 13.7日 72.8%
金融業,保険業 19.6日 14.3日 72.8%
医療,福祉 17.7日 12.1日 68.4%
情報通信業 18.9日 12.7日 66.9%
学術研究,専門・技術サービス業 18.4日 12.3日 66.8%
建設業 18.3日 11.1日 60.7%
卸売業,小売業 17.5日 10.5日 59.9%
宿泊業,飲食サービス業 15.9日 8.0日 50.7%

情報通信業との差は0.1ポイント。長時間労働の話題で並べられることが多い2つの業種が、休みの取り方の数字では同じ位置にいる。付与日数を見ると、この業種は18.4日で、調査計の18.1日より0.3日多い。付与が多めで、取得率は平均どおり。

16業種を全部並べた表と、最上位から最下位までの24.5ポイントの開きは有給取得率、業種別で24.5ポイント差にある。情報通信業の側の推移はITの有給取得率は66.9%、平均と同じに分けた。

5年で8.5ポイント上がり、全体との差が消えた

同じ第5表を令和3年調査までさかのぼると、この業種の取得率は次のように動いている。

調査年 この業種 調査計 差
令和3年 58.3% 56.6% +1.7
令和4年 60.7% 58.3% +2.4
令和5年 64.2% 62.1% +2.1
令和6年 65.7% 65.3% +0.4
令和7年 66.8% 66.9% −0.1

この業種は5年で8.5ポイント上がった。同じ期間に調査計は10.3ポイント上がっている。上げ幅が1.8ポイント小さかったことで、令和5年調査までは2ポイント前後あった差が令和6年調査で0.4ポイントまで縮まり、令和7年調査ではとうとう調査計の下に入れ替わった。

追い抜かれたというより、先に高かった側の伸びが緩やかだった、と読むほうが近い。令和3年調査の58.3%より上にいたのは5業種で、令和7年調査では7業種に増えている。

上がったのは分子のほう

取得率は割り算なので、分母と分子に割って見る。この業種の付与日数は令和3年調査の18.7日から令和7年調査の18.4日へ、0.3日減った。取得日数は10.9日から12.3日へ、1.4日増えている。

付与が減ったのは、勤続年数の構成や短時間勤務者の比率が動いた結果とも読めるが、この調査から切り分けることはできない。はっきり分かるのは1点だけ。取得率の8.5ポイントぶんの上昇は、付与日数を絞ったことで起きたものではない。分子にあたる取得日数が1.4日ぶん増えたところから出ている。

企業規模別(調査計)では1,000人以上が69.0%、30〜99人が64.9%で、4.1ポイントの差。ただし産業と規模を掛け合わせた値は公表されていないので、この業種の小さい事務所が何%なのかは出せない。規模の側の数字は有給取得率、企業規模別で4.1ポイント差にまとめてある。

この66.8%で言えないこと

区分が広い。経営コンサルタント業だけの値ではないし、その中で戦略と会計と設計を分けた数字も出てこないので、「コンサルの平均」という言い方でこの66.8%を持ち出すと、実際には広告業や獣医業まで含んだ箱の平均を指していることになる。

常用労働者30人未満の企業は調査の対象外。少人数の事務所は、この66.8%に入っていない。

企業が答えた値であって、職場ごとの分布は出ない。同じ66.8%という数字は、全員が12日ずつ取っている職場からも、20日近く取る人と5日で止まっている人が混ざった職場からも、まったく同じように出てくる。月ごとの偏りも平均に残らない。

繰越分を含めていないので、去年の残りを今年に持ってきて使った日数は、分母にも分子にも入っていない。実際に休んだ日数のほうは、取得日数12.3日より多くなりうる。

自分の取得率は3つの数字で出る

給与明細か勤怠のシステムに、たいてい全部載っている。

  1. 今年度の付与日数(繰越分を別に書き出す)
  2. 今日までに取った日数
  3. 残りの月数

2を1で割れば、自分の取得率が出る。年度の途中なら、3で割り戻して年間の見込みにする。66.8%に届く取得日数は、付与18.4日なら12.3日。自分に付与された日数に0.668をかけて出た日数が、この業種の平均と同じ取り方をした場合の目安になるので、残りの月数で割れば月あたり何日空ければいいかまで出る。

数字が平均より低いとき、その原因は制度ではなく運用の側にあることが多い。取りづらさの切り分け方は有給が取りづらいとき、何から動くかに書いた。異動や転職の前に確かめるなら、聞く項目は3つでいい。平均取得日数、繰越の扱い、直近1年に取得が0日だった人がいるかどうか。制度の紙に書いてある付与日数だけを見るより、この3つを人事や配属先の管理職に聞いたほうが、自分がそこで何日休めるのかの見当は近くなる。

出典

  1. 令和7年就労条件総合調査 結果の概況(厚生労働省、令和6年1年間または令和5会計年度の実績、調査客体6,448社・有効回答3,820社・回答率59.2%)
  2. 同 統計表(第5表。学術研究,専門・技術サービス業の付与18.4日・取得12.3日・取得率66.8%)/厚生労働省
  3. 令和6年就労条件総合調査 統計表(第5表。学術研究,専門・技術サービス業65.7%)/厚生労働省
  4. 令和5年就労条件総合調査 統計表(第5表。学術研究,専門・技術サービス業64.2%)/厚生労働省
  5. 令和4年就労条件総合調査 統計表(第5表。学術研究,専門・技術サービス業60.7%)/厚生労働省
  6. 令和3年就労条件総合調査 統計表(第5表。学術研究,専門・技術サービス業58.3%)/厚生労働省