残業時間の中央値は7.7時間

会社が自ら公表した月平均の残業時間を並べると、中央値は7.7時間。平均は8.7時間で、真ん中の値のほうが1時間低い。厚生労働省の職場情報総合サイト(しょくばらぼ)に掲載された150,864社のうち、月平均所定外労働時間を答えた2,759社を集計した値だ(2026年9月20日取得)。

公的統計が出しているのは平均だけ。毎月勤労統計調査の月9.8時間も平均値で、中央値は公表されていない(残業時間の平均は月9.8時間)。残業時間の分布は長時間側に裾が伸びるので、平均は真ん中より上に出る。その差が1時間ぶん。

真ん中の半分は、3.1時間から12.6時間に入る

統計量 月平均所定外労働時間
第1四分位 3.1時間
中央値 7.7時間
第3四分位 12.6時間
平均 8.7時間
最大 100.0時間
答えた会社数 2,759社

職場情報総合サイト(しょくばらぼ) (https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータを加工して作成。

4社に1社は月3.1時間以下で、4社に1社は月12.6時間以上。真ん中の半分がこの9.5時間の幅に収まっている。最大値の100.0時間のような申告が平均を押し上げるのに対して、中央値は並べたときの真ん中の順位を取るだけなので、端の値が1つ2つ動いてもほとんど変わらない。

業種別の中央値は、2.3時間から14.8時間まで

業種 中央値 平均 答えた会社数
運輸業,郵便業 14.8時間 15.4時間 26社
学術研究,専門・技術サービス業 10.0時間 10.2時間 245社
情報通信業 9.7時間 10.2時間 270社
卸売業,小売業 8.6時間 10.4時間 145社
製造業 8.2時間 9.2時間 573社
建設業 7.3時間 8.1時間 1,044社
医療,福祉 3.0時間 4.0時間 202社
教育,学習支援業 2.3時間 8.5時間 16社

答えた会社数が100社を超えているのは6業種だけ。運輸業,郵便業の26社、教育,学習支援業の16社は会社数が小さく、数社の申告で中央値が動く。業種ごとの水準を比べるなら、公的統計の産業別集計(業種別の残業時間、最長20.6時間)のほうが母数が大きい。

平均と中央値の差が、業種で6.2時間も違う

教育,学習支援業は中央値2.3時間に対して平均8.5時間。差は6.2時間。答えた16社のうち第3四分位が20.0時間まで伸びていて、少数の長時間側が平均を引き上げている形だが、16社という会社数では1社の申告でも数字が動く。

学術研究,専門・技術サービス業は中央値10.0時間、平均10.2時間で、差は0.2時間。245社の分布が左右に偏っていない形だ。建設業も7.3時間と8.1時間で近い。

差が大きい業種では、平均を自分の基準にすると位置を読み違える。自分の残業時間を比べる相手は、中央値と四分位のほうだ。

規模が変わると、同じ業種でも中央値が動く

サービス業(他に分類されないもの)の規模別を見ると、10人未満の会社では中央値0.0時間(答えた28社)、10〜100人で9.4時間(58社)、101〜300人で12.2時間(26社)。

小さい会社ほど中央値が低い。公的統計の規模別でも同じ向きが出ている(企業規模別の残業時間は9〜13時間)。ただしこちらは1社を1件として数えた値なので、人数での重みづけが入っていない。

この中央値で言えないこと

1社が1件。 社員1万人の会社と社員20人の会社が、同じ重さで中央値に入っている。個人を並べた中央値とは別のものだと考えたほうがいい。働いている人の真ん中が7.7時間、という読み方はできない。

掲載も項目ごとの記入も任意なので、答えた2,759社は公表に積極的な側に寄っている。「日本企業の中央値」と言える数字ではなく、答えた会社の中央値。分母に入っていない会社が14万社以上ある。

数字そのものも会社の自己申告で、集計の方法は会社ごとに違う。最小0.0時間と最大100.0時間が同じ分布に混ざっている。業種の区分は日本標準産業分類の大分類で、公的統計の産業区分と一対一では対応しない。

上限規制の月45時間とも、物差しが違う。あちらは法定労働時間を超えた分を1人ずつ数える制度の線で、こちらは会社が公表した月平均(36協定とは、残業の上限を決める書面)。

自分の残業時間を、どこに置くか

手順は2つ。自分の月の残業時間を3か月ぶん出して、中央値の7.7時間と、第1四分位3.1時間・第3四分位12.6時間のどこに入るかを見る。次に、自分の業種の中央値と見比べる。

月15時間なら、全体では第3四分位より上。運輸業,郵便業の中央値14.8時間とはほぼ同じ。同じ15時間という数字が、比べる相手を変えるだけで分布の上のほうにも真ん中にも見えるので、位置は全体と業種の2つで持っておくほうがいい。

そのうえで必要なのは、自分がどのあたりで無理なく続けられるかの線だ。4週ぶん記録して、翌朝に疲れが残らなかった週の残業時間を数字で持っておくと、中央値との距離に意味が出てくる。

出典

  1. 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)/厚生労働省/掲載150,864社のうち月平均所定外労働時間を答えた2,759社を集計(2026年9月20日取得)
  2. 同 オープンデータのダウンロード(職場情報総合サイト、厚生労働省)
  3. 同 利用規約(加工して作成した場合の出典表記の定め)