有給休暇の平均と呼ばれる数字は、ひとつではない。労働者1人平均の付与日数が18.1日、そのうち取得した日数が12.1日、取得率が66.9%。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査が集計した、令和6年1年間の実績である。有給とは別枠の年間休日総数は、1企業平均で112.4日だった。
有給休暇の平均、付与18.1日と取得12.1日
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4つの数字が、それぞれ別のものを測っている
| 指標 | 値 | 何を測った数字か |
|---|---|---|
| 1人平均付与日数 | 18.1日 | 1年間に付与された日数。繰越分は含まない |
| 1人平均取得日数 | 12.1日 | そのうち実際に取得した日数 |
| 取得率 | 66.9% | 取得日数を付与日数で割った値 |
| 年間休日総数 | 112.4日 | 1企業平均の休日日数。年次有給休暇は含まない |
「有給の平均」として引かれるのは、たいてい12.1日か66.9%のどちらか。付与と取得の差は6日ある。取得率の推移は有給取得率の平均は66.9%に、1984年からの長期の動きとあわせてまとめた。
18.1日は、手元にある残日数の平均ではない
付与日数18.1日の集計から、前年から繰り越した日数は外れている。繰越を含めれば手元の残日数はこれより多くなる人がいるし、その平均はこの調査から出てこない。
繰越を含めた残日数の平均は、どこにも出ていない。
勤続年数と週の所定労働日数で付与日数が決まる仕組みなので、18.1日は勤続の長い人と短い人を混ぜた値である。勤続6か月の人に付く10日と、6年6か月を超えた人に付く20日が同じ母数に入っているため、この平均を、勤続年数の構成が違う職場どうしを比べる物差しとして使うと無理が出る。自分が今年もらった日数と18.1日がずれていても、それだけでは何も分からない。
母集団は、働く人の全体ではない
調査の対象は常用労働者30人以上の民営企業。客体6,448社に対して有効回答は3,820社で、回答率は59.2%だった。30人未満の企業は枠の外。
さらに、有給の付与日数と取得日数の集計対象は、企業全体の常用労働者のうち期間を定めずに雇われている労働者で、パートタイム労働者は除かれている。1か月以上の期間を定めて雇われている人は常用労働者に数えられているのに、この集計からは外れる。つまり12.1日は、無期雇用でフルタイムに近い働き方の人だけを集めた平均である。
有期契約や短時間勤務で働く人が何日取れているかは、この平均からは読めない。集計の単位が企業なので、同じ会社の中で部署によって取得日数が開いていても平均には現れず、無期雇用でない人は最初から母数の外にいる。読み方の前に、母数の話である。
比べる相手は、全体より自分の規模と産業
同じ調査を企業規模で割ると、常用労働者1,000人以上の企業の取得率が69.0%、30〜99人が64.9%。差は4.1ポイント(有給取得率、企業規模別で4.1ポイント差)。
産業で割ると開きはもっと大きい。電気・ガス・熱供給・水道業の75.2%から、宿泊業・飲食サービス業の50.7%まで、24.5ポイントある(有給取得率、業種別で24.5ポイント差)。全体の66.9%と自分の取得日数を並べる前に、自分の産業と規模の値を見たほうが、差の意味が読める。
平均が動いた時期
2019年4月から、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者について、使用者が5日ぶんの時季を指定して取得させることが義務になった(労働基準法39条7項)。取得率が伸びた時期は、この義務化の後と重なる。
ただし義務が課されているのは5日ぶん。付与18.1日に対して27.6%にあたる水準なので、66.9%のうちどこからが本人の希望で取ったぶんなのかを、この集計から切り分けることはできない。1日も取れていなかった人が5日の側に寄せられたぶんで平均が上がったのか、それとも全体がまんべんなく増えたのかも、1人平均の値を並べているかぎり分けられない。
平均と比べられるのは、取得日数の側
付与日数は法律と勤続年数で決まるので、平均と比べて多い少ないを論じる意味が薄い。比べられるのは、使えた日数のほう。
今年の自分の取得日数が6日なら、12.1日との差は6.1日。その差がどこで生まれたのかは、記録がないと翌年に思い出せない。申請しなかったのか、申請して通らなかったのか、そもそも付与された日数が平均より少ないのか、1年たってから振り返ると区別がつかなくなるので、残すのは次の4つになる。
- 今年の付与日数と、取得した日数
- 繰り越した日数のうち、時効で消えた日数
- 申請して通らなかった回数と、会社が示した代わりの日
- 年5日の時季指定を会社から受けたかどうか
1年ぶんそろえば、全国平均との差ではなく、去年の自分との差で動きを見られる。取りにくさの切り分け方は有給が取りづらいとき、何から動くかに書いた。年間休日112.4日のほうを含めた休みの総量で見ると、同じ取得日数でも職場による差は別の形で出る。





