有給を1日取った日の賃金は、3通りのうち就業規則が指定した1つの方法で計算される。通常の賃金、平均賃金、健康保険の標準報酬日額。どれで計算するかを本人が選ぶことはできない(厚生労働省「確かめよう労働条件」)。日数のほうの計算は勤続年数と週の所定労働日数で決まるので、そちらは有給休暇は何日かの表で足りる。
有給休暇の計算は日数と賃金の2つ
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「有給休暇の計算」は2つある
1つは何日もらえるかの計算。もう1つは、取った日にいくら払われるかの計算である。前者は勤続年数と週の所定労働日数に対応した法定の表と、前の1年の出勤率が8割に届いたかどうかで機械的に決まるのに対して、後者は同じ日数を取っても職場によって金額が変わる。就業規則がどの算定方法を選んでいるかで変わるため。給与明細を見て引っかかるのは、たいてい後者のほう。
取得日の賃金は、就業規則が決めた1つで出る
労働基準法39条9項が認めているのは、次の3つ。
- 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
- 平均賃金
- 健康保険法40条1項に基づく標準報酬日額(労使協定が必要)
就業規則でどれかに定め、それを適用する。日によって、人によって、額の大きいほうを選ぶという運用はできない。3つ目の標準報酬日額は労使協定がないと使えないため、協定を結んでいない職場では残る2つのどちらかになる。
月給制で通常の賃金を使う場合、有給を取っても欠勤控除をしないだけなので、明細の支給額は普段と変わらない。時給制や日給制の人は、その日働いたものとして1日分を出す。所定労働時間が日ごとに違うシフト勤務なら、取った日の所定労働時間に時給を掛けた額。
平均賃金は、労働日数ではなく暦日で割る
原則の式は、事由の発生した日以前3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割った額(労働基準法12条)。分母に来るのは暦日数で、休みの日も数に入る。つまり、実際に働いた日数で割った1日分より小さい額になる。
厚生労働省神奈川労働局の計算例では、月給275,000円と通勤手当6,330円で月額281,330円の人について、3か月の賃金総額843,990円を暦日数92日で割り、平均賃金は9,173円80銭になる。同じ281,330円を月の所定労働日数20日で割れば14,066円50銭。4,892円70銭の開きが、分母を暦日にしたところから出てくる。
賃金の総額に入るのは通勤手当・皆勤手当・時間外手当。入らないのは、結婚手当や退職金のような臨時の賃金と、四半期ごとの賞与のように3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、それに労働協約の定めのない現物給与である。賃金締切日があるなら、直前の締切日から遡って3か月を数える。入社から3か月たっていない人は、入社日以降の期間で計算する。
最低保障額のほうが高ければ、そちらを使う
時間額・日額・出来高払で賃金が決まっていて労働日数が少ない人は、暦日で割ると低い額が出る。そこで、賃金の総額を労働した日数で割った額の6割を下限に置き、原則の式と比べて高いほうを平均賃金とする。神奈川労働局の例では、賃金総額414,600円・暦日数91日・労働日数41日の人で、原則の式が4,556円04銭、最低保障額が5,990円76銭。採用されるのは後者。
算定期間から除く期間もある。業務上のけがや病気による療養休業、産前産後休業、使用者の責めに帰すべき休業、育児休業と介護休業、試用期間。これらの期間は、その日数と、その期間に支払われた賃金額の両方を3か月の算定から抜いて計算するので、育休から戻った直後に平均賃金を出す場面では、休んでいた月をまるごと外した残りの期間が分母になる。短い。
出勤率8割は、分母の作り方で変わる
付与の前提になる出勤率は、全労働日のうち8割以上を出勤したかどうかで見る。分母の全労働日は、その期間の暦日数(1年なら365日または366日)から所定休日を除いた日数。
分子には、実際には働いていない日でも出勤として数えるものが入る。ここが分かれ目。業務上の負傷・疾病による休業、産前産後休業、育児休業と介護休業、そして年次有給休暇を取った日。有給を使った日は欠勤として扱われないので、翌年の付与判定で不利に働かない。要件の全体は有給休暇の条件のほうに整理した。
時間単位は、1時間あたりの額に時間数を掛ける
時間単位で有給を取れるのは、労使協定がある職場だけ。協定で定められる上限は1年5日以内。
賃金のほうは、通常の賃金の1時間当たりの額に、取得した時間単位年休の時間数を乗じた額になる(厚生労働省が示している就業規則の規定例)。2時間使えば2時間分。ここで計算が絡んでくるのは年5日の時季指定義務で、時間単位で取ったぶんは、確実な取得が必要な5日から差し引けない。4時間を10回取っても、5日のカウントは0のまま。
半日単位の扱いは法律が決めていないので、就業規則の定め方による。
明細と就業規則の、どこを見るか
- 就業規則の年次有給休暇の条項。賃金の算定方法として3つのうちどれが書かれているか
- 労使協定の有無。標準報酬日額と時間単位年休は、協定がなければ使えない
- 給与明細の控除欄。有給を取った月に欠勤控除が入っていないか
平均賃金方式の職場では、月給の人が有給を取った月だけ支給額が下がる形になることがある。暦日で割った額が、所定労働日で割った日割りより小さいためである。下がり方が自分の計算と合わないときは、3か月の賃金総額と暦日数を置いて、上の式に当ててみる。残日数そのものが合わないなら、有給休暇は何日かの表と基準日から数え直すほうが早い。取りにくさの切り分けは有給が取りづらいとき、取得率の平均は有給取得率の平均に書いた。





