情報通信業の年次有給休暇の取得率は66.9%。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査(令和6年1年間の実績、有効回答3,820社)の値で、全産業計の66.9%とちょうど同じ。付与日数は1人平均18.9日、そのうち実際に取得したのは12.7日だった。6年前の調査では全体を7.7ポイント上回っていた。業種の特徴として語れるほどの差は、この6年で消えている。
ITの有給取得率は66.9%、平均と同じ
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取得率の内訳は、18.9日のうち12.7日
就労条件総合調査の取得率は、その年に付与された日数の合計を分母に置き、1年間に実際に取得された日数の合計を分子に置いて計算した値で、前年から繰り越した日数は分母にも分子にも入っていない。繰越は別勘定。情報通信業の令和7年調査の値を並べる。
- 1人平均の付与日数 — 18.9日(全産業計は18.1日)
- 1人平均の取得日数 — 12.7日(全産業計は12.1日)
- 取得率 — 66.9%(全産業計も66.9%)
付与が0.8日、取得が0.6日だけ多い。割り算の結果が同じでも、使われずに残った日数は情報通信業が6.2日、全産業計が6.0日で、率で並べたときには同じ位置に見える両者が、日数に直すと0.2日ぶんずれている。小さい差。
企業規模で見た値は産業別とは別の集計で、1,000人以上が69.0%、30〜99人が64.9%だった(有給取得率、企業規模別で4.1ポイント差)。16産業の並びは有給取得率、業種別で24.5ポイント差にある。
「IT」という区分は、この統計に無い
就労条件総合調査の産業区分は日本標準産業分類に沿っていて、いちばん近いのが大分類の「情報通信業」になる。ここには通信業、放送業、情報サービス業、インターネット附随サービス業、映像・音声・文字情報制作業が入る。66.9%は、その5つをまとめた平均。
開発や運用の仕事をしている人の多くは情報サービス業に入るが、この調査の公表値は中分類まで割られていないので、放送局の編成の仕事をしている人と受託開発の技術者が、同じ1つの数値の中に混ざったまま平均されている。自社開発か受託か、常駐かどうかといった区分も統計の側には無い。そこを分けた数値は、この調査から出てこない。
全体との差は、6年で7.7ポイントから0.0ポイントへ
同じ調査の各年の第5表から、情報通信業と全産業計の取得率を並べる。実績年は調査年の前年(または前会計年度)である。
| 調査年 | 実績年 | 情報通信業 | 全産業計 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 令和2年調査 | 2019年 | 64.0% | 56.3% | 7.7 |
| 令和3年調査 | 2020年 | 65.1% | 56.6% | 8.5 |
| 令和4年調査 | 2021年 | 63.2% | 58.3% | 4.9 |
| 令和5年調査 | 2022年 | 63.5% | 62.1% | 1.4 |
| 令和6年調査 | 2023年 | 67.1% | 65.3% | 1.8 |
| 令和7年調査 | 2024年 | 66.9% | 66.9% | 0.0 |
差が最も大きかったのは令和3年調査の8.5ポイントで、そこから4年かけて0.0まで縮んだ。
縮んだ理由は、情報通信業の側が落ちたからではない。この6年で情報通信業の取得率は64.0%から66.9%へ2.9ポイント上がっている。同じ期間に全産業計は56.3%から66.9%へ10.6ポイント上がった。取得日数でも、情報通信業が12.3日から12.7日(0.4日増)、全産業計が10.1日から12.1日(2.0日増)。上がり幅が4倍以上違う。
年5日の時季指定義務が始まったのは2019年4月で、全体の伸びが大きくなった時期と重なる。もともと取得率の高かった業種では、この義務で動く余地が小さかったと読める。全体の推移は有給取得率の推移、6年で14.5ポイントに整理してある。
この数値が答えないこと
産業別の値は、その産業に分類された企業の回答を平均した1つの数値である。同じ情報通信業の中に取得率が90%の会社と40%の会社が混ざっていても、平均が同じなら公表される値は変わらないし、どれくらいばらついているかを示す分布や四分位は概況に載っていない。
調査の対象は、常用労働者30人以上の民営企業から抽出された6,448社で、有効回答は3,820社(回答率59.2%)。29人以下の会社は入っていない。値は企業からの回答で、労働者への調査ではないので、申請したが取れなかった日数のような経緯は分からない。
産業と企業規模は別々の集計なので、「情報通信業で従業員1,000人以上」の取得率は、この概況の表からは出せない。
自分の数字と、どう並べるか
給与明細か勤怠システムに、今期の付与日数と取得日数が載っている。割るだけ。取得日数を付与日数で割れば66.9%と同じ形の数字になり、たとえば付与18.9日に対して取得が9日だった人は47.6%で、業種の平均より19.3ポイント低い位置にいることになる。
差が出たときに見るのは、自分の遠慮より先に職場の運用のほうである。申請から返答までの日数、直前の申請が通るか、上司自身が何日取っているか。項目の決め方は有給が取りづらいとき、何から動くかに書いた。1年ぶんの記録があれば、来年の同じ時期に、平均との距離を自分の数字で言える。
出典
- 令和7年就労条件総合調査 結果の概況(第5表 労働者1人平均年次有給休暇の取得状況・産業別)/厚生労働省/令和6年1年間(または令和5会計年度)の実績・調査客体6,448社・有効回答3,820社(回答率59.2%)
- 同 結果の概況(PDF。調査の概要と第5表)/厚生労働省
- 同 統計表(第5表。情報通信業の付与日数18.9日・取得日数12.7日・取得率66.9%)/厚生労働省
- 令和6年就労条件総合調査 統計表(第5表。情報通信業67.1%)/厚生労働省
- 令和5年就労条件総合調査 統計表(第5表。情報通信業63.5%)/厚生労働省
- 令和4年就労条件総合調査 統計表(第5表。情報通信業63.2%)/厚生労働省
- 令和3年就労条件総合調査 統計表(第5表。情報通信業65.1%)/厚生労働省
- 令和2年就労条件総合調査 統計表(第5表。情報通信業64.0%)/厚生労働省
- 日本標準産業分類(大分類G 情報通信業の中分類)/総務省





