不動産の有給取得率65.5%、6年で13ポイント

不動産業,物品賃貸業の年次有給休暇の取得率は65.5%。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査(令和6年1年間の実績、有効回答3,820社)の値で、全産業計の66.9%を1.4ポイント下回る。付与された日数は1人平均17.8日、そのうち取得されたのは11.6日だった。6年前の調査では52.5%で、全産業計より3.8ポイント低い位置にいた。いまの差は1.4ポイント。縮んだのは、この業種の側が13.0ポイント上がったからである。

17.8日のうち、11.6日が使われた

就労条件総合調査の取得率は、1年間に付与された日数を分母、実際に取得された日数を分子にして計算する。前年からの繰越は、分母にも分子にも入らない。令和7年調査の不動産業,物品賃貸業の値を並べる。

  • 1人平均の付与日数 — 17.8日(全産業計は18.1日)
  • 1人平均の取得日数 — 11.6日(全産業計は12.1日)
  • 取得率 — 65.5%(全産業計は66.9%)

使われずに残った日数は6.2日。全産業計の6.0日と比べれば0.2日の違いしかなく、付与が0.3日少なくて取得が0.5日少ないという二重のずれを割り算に通した結果が、率で見たときの1.4ポイントという差になっている。日数で見るか率で見るかで、距離の印象は変わる。

企業規模ごとの値は産業別とは別の集計で、全産業計の1,000人以上が69.0%、30〜99人が64.9%だった(有給取得率、企業規模別で4.1ポイント差)。16産業の並びは有給取得率、業種別で24.5ポイント差にある。

6年で13.0ポイント上がった

同じ調査の各年の第5表から、不動産業,物品賃貸業と全産業計を並べる。実績年は調査年の前年(または前会計年度)である。

調査年 実績年 不動産業,物品賃貸業 全産業計 差
令和2年調査 2019年 52.5% 56.3% −3.8
令和3年調査 2020年 58.3% 56.6% +1.7
令和4年調査 2021年 55.5% 58.3% −2.8
令和5年調査 2022年 61.3% 62.1% −0.8
令和6年調査 2023年 62.4% 65.3% −2.9
令和7年調査 2024年 65.5% 66.9% −1.4

上がり幅は6年で13.0ポイント。同じ期間に全産業計は56.3%から66.9%へ10.6ポイント上がっているので、この業種のほうが2.4ポイントぶん速い。

2020年実績の年だけ、全産業計を1.7ポイント上回っている。この年は感染症が広がって来店客が減った時期にあたり、付与日数は17.5日で前後の年とほとんど変わらないまま、取得日数が9.2日から10.2日へ1.0日増えた。翌年には9.5日まで戻る。一度だけ上に出た数値。

年5日の時季指定義務が始まったのは2019年4月である。52.5%という6年前の数値は、義務が入る前の実績をほぼそのまま映している。全体の動きは有給取得率の推移、6年で14.5ポイントにまとめた。

この数値には、レンタルとリースの会社が入っている

就労条件総合調査の産業区分は日本標準産業分類に沿っていて、「不動産業,物品賃貸業」は大分類Kである。ここには不動産取引業と不動産賃貸業・管理業に加えて物品賃貸業が入り、建設機械のリースや自動車とコンピュータのレンタル、個人向けの貸衣装業まで、ひとつの区分にまとめられている。65.5%は、その平均値。

仲介の営業で土日に接客している人と、リース会社の事務の人が、同じ1つの数値の中で平均されている。公表値は中分類まで割られていないので、不動産取引業だけの取得率は、この調査から出てこない。仲介か管理か、個人向けか法人向けかという区分も統計の側に無い。

業種の平均を自分の職場の予想値として使うときは、この混ざり方を先に知っておく。

この数値が答えないこと

産業別の値は、その産業に分類された企業の回答を平均した1つの数値である。取得率が90%の会社と45%の会社が同じ区分に入っていても、平均が同じなら公表される値は変わらないし、どれくらいばらついているかを示す分布や四分位は、概況の表に載っていない。

調査の対象は、常用労働者30人以上の民営企業から抽出された6,448社で、有効回答は3,820社(回答率59.2%)。29人以下の会社は入っていない。不動産業,物品賃貸業が回答企業に占める割合は2.0%で、産業別の表としては小さいほうの区分にあたる。

年間休日の日数は、この調査では企業規模別だけが公表されている。全産業計の労働者1人平均は116.6日、1企業平均は112.4日。産業別の年間休日は第4表に無いため、水曜定休の職場で年間何日休めるのかという問いは、有給の取得率とは別の資料を当たらないと答えが出ない。ここは空欄。

そして、値は企業からの回答である。労働者に聞いた調査ではないので、申請したが取れなかった日数や、取得したことになっている日に仕事の連絡が来ていたかどうかは分からない。

自分の数字と並べる

給与明細か勤怠システムに、今期の付与日数と取得日数が載っている。取得日数を付与日数で割る。付与17.8日に対して取得が7日なら39.3%で、業種の平均より26.2ポイント低い位置にいることになる。

差が出たときに見るのは、自分の遠慮より先に職場の運用である。申請してから返答が来るまでの日数、定休日と重ねずに取れた回数、上司自身の取得日数。項目の決め方は有給が取りづらいとき、何から動くかに書いた。記録が1年ぶん貯まると、来年の同じ時期に、平均との距離を自分の数字で言える。

出典

  1. 令和7年就労条件総合調査 結果の概況(第5表 労働者1人平均年次有給休暇の取得状況・産業別)/厚生労働省/令和6年1年間(または令和5会計年度)の実績・調査客体6,448社・有効回答3,820社(回答率59.2%)
  2. 同 結果の概況(PDF。調査の概要・年間休日・第5表)/厚生労働省
  3. 同 統計表(第5表。不動産業,物品賃貸業の付与17.8日・取得11.6日・取得率65.5%。第1表の企業構成割合2.0%、第4表の年間休日112.4日・116.6日)/厚生労働省
  4. 令和6年就労条件総合調査 統計表(第5表。不動産業,物品賃貸業62.4%)/厚生労働省
  5. 令和5年就労条件総合調査 統計表(第5表。不動産業,物品賃貸業61.3%)/厚生労働省
  6. 令和4年就労条件総合調査 統計表(第5表。不動産業,物品賃貸業55.5%)/厚生労働省
  7. 令和3年就労条件総合調査 統計表(第5表。不動産業,物品賃貸業58.3%・付与17.5日・取得10.2日)/厚生労働省
  8. 令和2年就労条件総合調査 統計表(第5表。不動産業,物品賃貸業52.5%・取得9.2日)/厚生労働省
  9. 日本標準産業分類(大分類K 不動産業,物品賃貸業の中分類)/総務省