中小企業の離職率は12.2〜17.9%

企業規模5〜29人の離職率は12.2%、30〜99人は14.0%だった。1,000人以上は12.5%で、全体では13.7%。厚生労働省の令和7年雇用動向調査が集計した2025年1年間の数値である。規模が小さいほど上がるという並びには、なっていない。いちばん小さい5〜29人が、5区分のなかでいちばん低い。

いちばん高いのは100〜299人の17.9%

企業規模 離職率 離職者数 入職率 入職超過率
1,000人以上 12.5% 241.9万人 14.0% +1.5
300〜999人 15.3% 134.1万人 15.1% −0.2
100〜299人 17.9% 115.6万人 17.4% −0.5
30〜99人 14.0% 99.0万人 15.7% +1.7
5〜29人 12.2% 91.1万人 13.0% +0.8
全体 13.7% 705.3万人 14.7% +1.0

5区分のうち最も高いのは100〜299人の17.9%で、最も低いのは5〜29人の12.2%。開きは5.7ポイント。隣り合う階級のあいだで値が上下しているため、規模の順に並べ替えても階段の形にはならず、大きいほうから小さいほうへ一方向に下がる線も引けない。

100〜299人と30〜99人は、中小企業基本法ならどちらも中小企業に入る。この2つの階級のあいだに3.9ポイントの差があって、しかも5〜29人の12.2%は1,000人以上の12.5%を下回る。「中小企業の離職率」を1つの値で言おうとすると、この幅が消える。

前の年は形が違った。令和6年は5〜29人が16.0%、100〜299人が16.6%、30〜99人が13.6%で、小さいほうの2区分が上に来ていた。5〜29人だけで1年に3.8ポイント動いている。

出ていった人のほうが多いのは、300〜999人と100〜299人

入職率から離職率を引いた値を入職超過率という。5区分のうち3つはプラスで、30〜99人が+1.7ポイント、1,000人以上が+1.5ポイント、5〜29人が+0.8ポイント。マイナスは300〜999人の−0.2と100〜299人の−0.5だけで、この2区分では1年のあいだに入ってきた人より出ていった人が多かった。

離職率17.9%でいちばん高い100〜299人は、入職率も17.4%でいちばん高い。出ていく人が多いぶん、入ってくる人も多い階級である。いっぽう5〜29人は離職12.2%・入職13.0%で、足した出入りの量が5区分でいちばん小さい。同じ「離職率が低い」でも、人が動かない職場と、動いた席がすぐ埋まる職場では、中にいるときの見え方が違う。離職率だけを並べたときには、この区別がつかない。

「中小企業」はこの5区分と一致しない

中小企業基本法の中小企業は、業種ごとに資本金の額と従業員数で決められている。製造業なら資本金3億円以下または従業員300人以下、小売業なら5,000万円以下または50人以下。この調査の区分は、企業全体の常用労働者数を1,000人以上・300〜999人・100〜299人・30〜99人・5〜29人の5つに切ったもので、資本金は見ていない。

従業員300人の製造業は、中小企業基本法では中小企業にあたるが、この表では300〜999人の階級に数えられる。常用労働者が5人に満たない事業所は、調査の対象外。

離職率はどう作られているか

離職率は、1年間の離職者数を1月1日現在の常用労働者数で割って100を掛けた値である。この調査は、常用労働者5人以上の事業所を母集団として、都道府県・産業・事業所規模で層化して無作為に抽出した約15,000事業所を対象にしている。企業規模の区分は、事業所調査で聞いている企業全体の常用労働者数から決まる。

年計なので、1月から12月までの1年ぶん。季節性は出てこない。

新卒に絞ると、並びは変わる

学校を出たばかりの人だけを追った集計では、規模が小さくなるほど3年以内に辞める割合が上がる形がはっきり出る。数値は3年以内離職率は大卒33.8%と規模別の定着率は42%から73%のほうにある。

この記事の13.7%や12.2%は、新卒に限らない全年齢・全就業形態の1年ぶんの値である。同じ「離職率」という言葉でも、追っている人と期間が違う。

この12.2%で言えないこと

辞めた理由は、この表に入っていない。定年に達した人、契約期間が満了した人、自分の意思で辞めた人が、同じ離職者として1件ずつ数えられている。

就業形態も分けていない値である。一般労働者の11.4%とパートタイム労働者の19.9%は8.5ポイント違うので、パートの比率が階級ごとに違えば、その差は規模の差として表に出る。全体の内訳は定着率の平均は86.3%のほうに書いた。

同じ企業のなかの異動は、離職に数えない。企業をまたぐ出向については、この表の離職者数とは別に、他企業から入職した出向者数と離職した出向者数をまとめた表が用意されていて、扱いが分かれている。

標本調査なので、値には抽出にともなう誤差がある。約15,000事業所から全国の約705.3万人という離職者数を推計しているため、階級ごとの1ポイント前後の上下を、そのまま順位の差として読むことはできない。5〜29人が1年で3.8ポイント動いたような大きな振れも、その階級で実際に何かが起きたのか、標本が入れ替わっただけなのかは、この表からは分けられない。ここは推定。

12.2%と、自分の職場

12.2%は、100人のうち12人が1年で抜ける水準にあたるので、自分の部署で去年1年に辞めた人数を年初の在籍者数で割れば、同じ形の数字を手元で出せることになる。20人の部署で3人なら15%。

そのうえで、率には出てこないものが3つある。辞めた人の後任が入るまでの週数。引き継ぎに使えた日数。辞める理由を聞けたかどうか。

この3つは、離職率が同じ職場でも違う。記録が4週ぶん貯まると、率ではなく自分の職場で起きたこととして並べられる。

出典

  1. 令和7年 雇用動向調査結果の概況/厚生労働省/2025年(年計)・常用労働者5人以上の事業所から層化無作為抽出した約15,000事業所/2026年8月31日公表
  2. 同 概況全体版(調査の概要・調査事項・集計方法)
  3. 同 統計表 第38-1表(都道府県、産業、企業規模、性別 離職者数及び離職率)/政府統計の総合窓口(e-Stat)
  4. 同 統計表 第24-1表(都道府県、産業、企業規模、性、職歴別 入職者数及び入職率)/政府統計の総合窓口(e-Stat)
  5. 令和6年 雇用動向調査 統計表 第38-1表(前年の企業規模別離職率)/政府統計の総合窓口(e-Stat)