不動産・物品賃貸業の所定外労働時間は、1人あたり月11.9時間。厚生労働省の毎月勤労統計調査2025(令和7)年分結果確報、事業所規模5人以上の値である。調査産業計の9.8時間より2.1時間長い。ただしこの11.9時間にはパートタイム労働者が混ざっていて、フルタイムに近い一般労働者だけで見ると14.5時間になる。出勤日数18.4日で割ると、1日あたり39分。
不動産の残業は月11.9時間、一般は14.5
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11.9時間は、パートを含んだ平均
就業形態で分けると、同じ産業のなかで数値が大きく動く。
| 就業形態 | 所定外労働時間 | 総実労働時間 | 出勤日数 |
|---|---|---|---|
| 就業形態計 | 11.9時間 | 148.0時間 | 18.4日 |
| 一般労働者 | 14.5時間 | 162.9時間 | 19.3日 |
| パートタイム労働者 | 2.2時間 | 90.4時間 | 14.7日 |
一般労働者とパートタイム労働者の差は12.3時間。就業形態計の11.9時間は、この2つを人数の比で混ぜた値なので、正社員として働いている人が自分の残業と比べるなら、見るのは14.5時間のほうである。
調査産業計の一般労働者は13.2時間で、不動産・物品賃貸業の14.5時間はそこから1.3時間だけ上にいるので、就業形態計どうしで比べたときの2.1時間より、産業計との距離は近くなる。パートタイム労働者の比率は産業によって違う。計の数値だけを並べると、働き方の違いではなく人の構成の違いを見ていることがある。
16産業の並びは業種別の残業時間、最長20.6時間にある。不動産・物品賃貸業は上から8番目で、建設業12.8時間から鉱業,採石業等11.6時間までの4産業が0.9時間の幅に詰まっているところに入る。順位としては読めない位置。
1日あたりに直すと39分
月の時間数は、退勤時刻の感覚と結びつきにくい。出勤日数で割る。
就業形態計は11.9時間を18.4日で割って、1日あたり39分。一般労働者のほうは14.5時間を19.3日で割るので1日45分になり、定時が18時の職場なら、平均的には18時45分に出ている計算になる。
実際の分布は、これとは違う形をしているはずだ。平均が45分でも、定時に帰る日と23時まで残る日が混ざっていれば同じ数値になる。毎月勤労統計は事業所が月単位で集計した時間数を集めたもので、日ごとのばらつきは公表されていない。所定外労働時間が何を含むかは実労働時間とは何を数える時間かに書いた。
5年のあいだ、減っていない
同じ調査の各年の確報から、就業形態計の所定外労働時間を並べる。
| 年 | 不動産・物品賃貸業 | 調査産業計 | 差 |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 11.5時間 | 9.7時間 | +1.8 |
| 2022年 | 11.2時間 | 10.1時間 | +1.1 |
| 2023年 | 12.2時間 | 10.0時間 | +2.2 |
| 2024年 | 12.0時間 | 10.0時間 | +2.0 |
| 2025年 | 11.9時間 | 9.8時間 | +2.1 |
5年の幅は11.2時間から12.2時間までの1.0時間。いちばん低かったのが2022年の11.2時間で、翌2023年に12.2時間まで1.0時間上がったあとは、2年続けて0.1時間ずつ下がっている。前年比は2025年で−0.3%。
一般労働者の系列も同じ形で、14.1時間、13.9時間、14.7時間、14.5時間、14.5時間と動いている。幅は0.8時間。残業規制の上限が中小企業にも適用された2020年4月より後の5年で、この産業の数値はほとんど動いていない。全体の動きは残業時間の推移、山は2022年に整理した。
この数値に入っていない時間がある
毎月勤労統計の所定外労働時間は、事業所が記録して報告した時間数であり、賃金の支払いと結びつけて集計されているので、記録に上がらなかった労働時間は最初から入っていない。タイムカードを押してから続けた作業、持ち帰った書類、休日に届いた連絡への対応。どれも、この11.9時間の外側にある。
固定残業代の制度がある職場では、固定分を超えた時間が記録に残っているかどうかで数値が変わる。制度の確かめ方は固定残業代とは、何を見れば分かるかに、上限の決まりは36協定とは、残業の上限を決める書面に書いた。
つまり11.9時間は、記録された時間の平均である。働いた時間の平均ではない。
「不動産・物品賃貸業」の中身
毎月勤労統計の産業区分は日本標準産業分類の大分類で、Kの「不動産業,物品賃貸業」がここに当たる。不動産取引業と不動産賃貸業・管理業に加えて物品賃貸業が入り、建設機械のリースや自動車とコンピュータのレンタル、貸衣装業まで、ひとつの区分にまとめられている。
仲介の営業で土日に接客している人と、リース会社で平日に働いている人が、同じ11.9時間のなかで平均されている。公表値は中分類まで割られていないので、売買仲介だけの数値はこの調査から出てこない。職種別の内訳も無い。
調査の対象は、常用労働者5人以上の事業所。規模ごとの内訳も、産業と組み合わせた形では概況に載っていない。
自分の数字と並べる
勤怠の記録に、先月の所定外労働時間が載っている。14.5時間と並べるだけで、業種のなかでの位置が出る。20時間なら5.5時間上、8時間なら6.5時間下。
数値が上に出たときに見るのは、月の合計より先に日ごとの分布である。定時に帰れた日数、21時を過ぎた日数、休日に連絡が来た回数。この3つを3か月ぶん数えると、繁忙期だけの波なのか毎月続いていることなのかが分かれて、業種の平均はその判断の目安として使える。
出典
- 毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報/厚生労働省/事業所規模5人以上・日本標準産業分類の16大産業
- 同 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(産業別・就業形態別。不動産・物品賃貸業の所定外11.9時間、一般労働者14.5時間、パートタイム労働者2.2時間)/厚生労働省
- 毎月勤労統計調査 2024(令和6)年分結果確報 第2表(不動産・物品賃貸業12.0時間、一般労働者14.5時間)/厚生労働省
- 毎月勤労統計調査 2023(令和5)年分結果確報 第2表(不動産・物品賃貸業12.2時間、一般労働者14.7時間)/厚生労働省
- 毎月勤労統計調査 2022(令和4)年分結果確報 第2表(不動産・物品賃貸業11.2時間、一般労働者13.9時間)/厚生労働省
- 毎月勤労統計調査 2021(令和3)年分結果確報 第2表(不動産・物品賃貸業11.5時間、一般労働者14.1時間)/厚生労働省
- 日本標準産業分類(大分類K 不動産業,物品賃貸業の中分類)/総務省





