2025年の離職率13.7%のうち、勤め先が「個人的理由」と答えた離職は10.2%、「事業所側の理由」と答えた離職は0.9%だった。厚生労働省の雇用動向調査による。個人的理由のほうは2019年の11.5%から1.3ポイント下がっていて、事業所側の理由は7年間1.1%と0.8%のあいだで動いただけ。会社の都合で人が押し出される量は、この7年ほとんど変わっていない。
離職理由の推移、個人的理由10.2%
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7年ぶんの離職率を、理由で2つに割る
| 年 | 個人的理由 | 事業所側の理由 |
|---|---|---|
| 2019年 | 11.5% | 1.1% |
| 2020年 | 10.1% | 1.1% |
| 2021年 | 10.1% | 0.9% |
| 2022年 | 11.0% | 1.1% |
| 2023年 | 11.4% | 0.9% |
| 2024年 | 10.7% | 0.8% |
| 2025年 | 10.2% | 0.9% |
個人的理由は2020年に1.4ポイント落ちて、2022年から2023年にかけて11.4%まで戻り、そこから2年続けて下がった。7年間の幅は1.4ポイント。山が2019年と2023年にあって、谷が2020年と2021年にある形で、感染症の広がった2年間に人が動かなくなり、その後いったん戻って、また落ち着いてきたと読める。
事業所側の理由のほうは幅が0.3ポイントしかない。2019年1.1%、2025年0.9%。途中で1.1%に戻った年もあるが、上下の振れはこの範囲に収まっている。
個人的理由と事業所側の理由を足しても、離職率にならない
2025年の10.2%と0.9%を足すと11.1%。同じ年の離職率は13.7%なので、2.6ポイント足りない。この差は「その他の理由」に入る離職で、契約期間の満了と定年、それに出向等が含まれる。
つまり、辞めた人のおよそ2割は、本人が望んだわけでも会社が人を減らしたわけでもなく、契約や年齢に付いていた期限が来たというだけの理由で職場を離れていることになり、離職率という1つの数字は、この3つに割ってから読む必要がある。期限が来たから離れた人。全体の数値そのものは離職率の平均13.7%、男女で2.6ポイント差に、年ごとの動きは離職率の推移、10年の幅は1.9ポイントにまとめてある。
動いているのは女性の側だけ
個人的理由による離職率を男女に分けると、2019年は男性9.1%、女性14.3%で5.2ポイント離れていた。2025年は男性8.8%、女性11.7%。差は2.9ポイントまで縮んでいる。
| 年 | 男性 | 女性 | 差 |
|---|---|---|---|
| 2019年 | 9.1% | 14.3% | 5.2 |
| 2020年 | 8.5% | 11.9% | 3.4 |
| 2021年 | 8.6% | 11.7% | 3.1 |
| 2022年 | 8.9% | 13.4% | 4.5 |
| 2023年 | 9.4% | 13.7% | 4.3 |
| 2024年 | 8.8% | 12.9% | 4.1 |
| 2025年 | 8.8% | 11.7% | 2.9 |
男性の7年間の幅は8.5%から9.4%までの0.9ポイント。これに対して女性は11.7%から14.3%までの2.6ポイントを動いており、振れ幅は3倍近くあって、男女計の数値が年によって上下して見えるとき、それを動かしているのはたいてい女性側の数値である。
2025年の2.9ポイントは、この7年でいちばん狭い。ただし女性の数値が下がった年が2年続いただけの話なので、傾向として定着したかどうかは、あと数年の数値を見ないと判断できない。ここは推定の域を出ない。
事業所側の理由でも男女の位置が入れ替わった。2019年は男性1.3%、女性0.7%で男性のほうが高く、2025年は男性0.9%、女性0.8%でほぼ並んでいる。
感染症が広がった年に、会社都合の離職は増えていない
2020年の事業所側の理由による離職率は1.1%で、2019年と同じ。翌2021年は0.9%まで下がった。休業や時短が広がった2年間に、経営上の都合で職場を離れた人の割合は、公表されている数字のうえでは増えるどころかわずかに減っている。
同じ2年間に、個人的理由のほうは11.5%から10.1%へ1.4ポイント落ちた。押し出される量が変わらず、自分から出ていく量だけが減ったのがこの時期の形で、求人が細って動きにくくなったからだと説明はできるものの、この調査の数値だけでは理由まで確かめられない。推定。
「離職理由」は事業所が答えた理由
この調査の離職理由は、離職者が出た事業所が回答している。本人が退職届に何と書いたか、面談で何を話したかとは別のもの。円満に辞めたければ本当の理由を伝えないこともあるので、事業所の回答は、本人の申告を経由した理由として読む。
本人が答えた理由のほうは、同じ調査の別の表にある。転職して次の職場に入った人に前職を辞めた理由を聞いたもので、そちらでは「職場の人間関係が好ましくなかった」や「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」といった具体的な区分が出てくる。転職理由ランキング、男女で1位が違うと転職理由の推移、5年で動いた2つに分けてある。
数字の作りも違う。ここで見ている離職理由別離職率は、年初の常用労働者数を分母にした率。転職理由の表は、転職して入職した人を分母にした割合である。
この数字が答えていないこと
個人的理由の内訳は、公表されている概況に載っていない。「結婚」「出産・育児」「介護・看護」「その他の個人的理由」の4つを合計した数値が10.2%であって、そのうち何ポイントが介護なのかは、この資料からは分からない。転職理由の表を見るかぎり、大半は「その他の個人的理由」に入っている。
調査の対象は、常用労働者を5人以上雇う事業所から層化して無作為に抽出した約1万5,000事業所。産業別や規模別に理由を割った系列も、概況の図には出てこない。
そして、年の数値は日本全体の平均。自分の職場で起きていることとは無関係に動く。
自分の職場の1年を、この3つの欄で数える
昨年1年で辞めた人を思い出して、3つに分ける。自分から申し出て辞めた人、会社の都合で辞めた人、契約や定年の期限で辞めた人。人数を書き出したら、それぞれを年初の在籍者数で割る。
全国の数値は10.2%、0.9%、2.6%。自分の職場の3つの数字と並べたとき、どの欄が大きいかで、次に何を確かめるかが変わる。1つ目が大きければ職場の条件を、2つ目が大きければ事業の先行きを、3つ目が大きければ自分の契約の形を見に行く。並べるのは3行。





