令和7(2025)年に職場を離れた人のうち、勤め先が「個人的理由」と答えた人は74.3%、「契約期間の満了」が12.6%、「事業所側の理由」が6.5%だった。厚生労働省の雇用動向調査、第13表による。集計された離職者は73,332人。上から3つで93.4%になるので、順位表としてはここで終わってしまい、人間関係や給料といった具体的な理由は、この表の区分には存在しない。
離職理由ランキング、74.3%が個人的理由
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公表されている区分を、大きい順に並べる
令和7年1年間に離職した人の構成比を、小さい区分まで割って並べた。
| 順位 | 区分 | 構成比 |
|---|---|---|
| 1 | その他の個人的理由 | 71.9% |
| 2 | 契約期間の満了 | 12.6% |
| 3 | 定年 | 4.4% |
| 4 | 経営上の都合 | 2.7% |
| 5 | 死亡・傷病 | 2.0% |
| 5 | 出向 | 2.0% |
| 7 | 出向元への復帰 | 1.7% |
| 8 | 出産・育児 | 1.0% |
| 9 | 介護・看護 | 0.9% |
| 10 | 結婚 | 0.5% |
| 11 | 本人の責による | 0.2% |
1位の71.9%は、公表値の引き算で出した数字である。個人的理由の合計74.3%から、結婚0.5%、出産・育児1.0%、介護・看護0.9%を引くと71.9%が残る。
大きい括りに戻すと、個人的理由74.3%、契約期間の満了12.6%、事業所側の理由6.5%、定年4.4%、死亡・傷病2.0%、本人の責によるもの0.2%。事業所側の理由6.5%の中身は、経営上の都合2.7%と出向2.0%、それに出向元への復帰1.7%である。会社の都合で人が押し出された離職は、このうち経営上の都合の2.7%にあたる。
1位の中身は、公表されていない
離職理由の順位表で1位になる区分は、名前が「その他」で始まる。結婚でも出産でも介護でもなく、定年でも契約満了でもない個人的な理由が、ここに全部入る。給料への不満も、上司との関係も、仕事の内容が合わなかったことも、次の職場が決まっていたことも、どれもこの71.9%の内側にあって、そこから先の内訳は公表されていない。
転職や退職をあつかう記事の順位表が「1位 人間関係、2位 給与」と並ぶのは、別の調査を見ているからである。あちらは本人に選択肢を示して選ばせた回答で、公的統計のこの表は、事業所が人事の記録として答えた区分。選択肢の作りが違うので、順位を突き合わせても意味は出ない。
辞める理由を言葉にしたいとき、この表は役に立たない。71.9%という塊を、自分で割るしかない。公的統計の側は空欄のまま。
男女で入れ替わるのは、契約と定年のほう
| 区分 | 男 | 女 |
|---|---|---|
| 個人的理由 | 70.3% | 78.0% |
| 契約期間の満了 | 13.4% | 11.8% |
| 事業所側の理由 | 7.5% | 5.5% |
| 定年 | 6.5% | 2.4% |
| 死亡・傷病 | 2.0% | 2.1% |
| 本人の責による | 0.3% | 0.1% |
個人的理由は女性のほうが7.7ポイント高い。逆に定年は男性6.5%、女性2.4%で、男性が2.7倍。事業所側の理由も男性のほうが2.0ポイント高く、7.5%と5.5%。
定年の差は、同じ職場に定年まで在籍する人の割合が男女で違うことと、年齢の区切りが来る前に職場を離れた人がそのぶん別の区分に数えられることの、両方を映している。女性の離職は期限が来る前に起きているぶんが多く、それが個人的理由の側に積み上がる形。ただし、この表は辞めた人を100とした構成比なので、男女どちらが多く辞めたかは出てこない。それは離職率の話で、離職率の平均13.7%、男女で2.6ポイント差に分けてある。
女性の個人的理由78.0%のうち、結婚は0.8%、出産・育児は1.8%、介護・看護は1.2%。残る74.2%が「その他の個人的理由」になる。
結婚で辞めた人の構成比は、34年で10分の1になった
女性の離職者のうち結婚を理由とする人は、平成3(1991)年に8.2%だった。令和7年は0.8%。出産・育児も5.3%から1.8%へ下がっている。男性はもともと結婚0.1%、出産・育児0.0%で、34年前からほとんど変わらない。
この2つが減ったぶん、女性の「その他の個人的理由」が太る。11の区分を足せば、どの年でも100に戻るためである。結婚や出産を機に辞める人が減ったのか、それ以外の理由で辞める人が増えたのか、構成比だけを見てどちらが起きたのかを決めることはできない。この表から言えるのはここまで。
理由ごとの率の動きは離職理由の推移、個人的理由10.2%のほうで追った。あちらは年初の在籍者数を分母にした離職率で、分母がこの記事とは違う。
誰が答えた理由なのか
雇用動向調査の離職理由は、離職者が出た事業所が回答している。本人が退職願に何と書いたか、上司との面談で何を話したかとは別の記録。答える側は会社。本当の理由を伝えずに辞める人がいること、そして人事の担当者が退職の経緯を知らないまま区分を選ぶ場合があることを考えると、ここに並ぶ区分は、本人の申告を会社が解釈して人事の様式に落とした結果として読むのが近い。
本人が答えた理由のほうは、同じ調査の入職者票にある。転職して次の職場に入った人に前職を辞めた理由を聞いたもので、「職場の人間関係」「給料等収入が少なかった」といった具体的な区分が出てくる。転職理由ランキング、男女で1位が違うに並べた。
2つの表は分母も違う。この記事の構成比は全離職者を100としたもので、転職理由の表は転職して入職した人を100としている。離職した人のうち、次の職場にすぐ入った人だけを数えた表。だから同じ調査から2つの順位が出て、どちらも正しい。
この数字が答えていないこと
調査対象は、常用労働者5人以上の事業所から層化して無作為に抽出した約15,000事業所。有効回答は上半期9,277事業所、下半期8,807事業所で、平均有効回答率は60.9%だった。集計に使われた離職者は73,332人。
順位表の下のほうは、抽出調査の誤差に埋もれる。出産・育児1.0%、介護・看護0.9%、結婚0.5%のあいだにあるのは0.5ポイントで、年によって入れ替わる程度の幅しかないのに、順位の形に並べると8位・9位・10位という別物のように見えてしまう。どれも1%前後、と読むほうが数字に合っている。
産業別や企業規模別の内訳は、この表には入っていない。業種ごとの違いを見たいときは定着率、業種別で17.1ポイント差と早期離職の業種別、高卒64.7%のほうが近い。新卒や若手に絞った数字は3年以内離職率は大卒33.8%にある。
そして、この74.3%は日本全体の平均。自分の職場で去年何が起きたかとは、無関係に動く。
自分の理由を、71.9%の側から割ってみる
統計の区分に自分を当てはめると、ほとんどの人が「その他の個人的理由」に入る。順位を見て位置を測るより、その塊を自分で割ったほうが使える。
やり方はひとつ。辞めたいと思った日のことを思い出して、そのとき何が起きていたかを書く。給料の額、残業の時間、上司と話した回数、任された仕事の範囲。数えられる単位まで降りると、どれが半年続いていてどれが1週間の波だったかが分かる。
それを4週ぶん記録すると、人事の記録には「その他の個人的理由」として残る1行の中身が、自分の手元には残る。





